俳優・映画監督 竹中 直人さん

「全ての役を俺ひとりで演じ分けさせてくれっ!!!と思うくらいの衝撃作だ!!」

映画「長篠」予告編

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コメント

竹中 直人さん

全ての役を俺ひとりで演じ分けさせてくれっ!!!と思うくらいの衝撃作だ!!

小和田 哲男さん

敗者の目線で描かれた意欲作
長篠の戦いは、これまで勝者織田信長および徳川家康目線で語られることが多かった。「勝者が書く勝者の歴史」そのものである。今回、映画『長篠』は、敗者武田勝頼の重臣たちの目線で描かれている点が特筆される。美濃岩村城代秋山虎繁と信長の叔母とのエピソードも盛り込まれていて興味深いつくりになっている。ちなみに、信長の叔母は、信長の戦略によって苗木城主遠山景任に嫁いだが、景任死後、女城主となっていたところで、虎繁と再婚したといういきさつがあった。虎繁は、これまで秋山信友と書かれることが多かった。しかし、その後の研究で虎繁が正しいことがわかった。ただ、信長の叔母の名はお艶の方といわれるが、同時代史料にはその名は出てこない。

黒田 基樹さん

武田家老衆の"覚悟"の描写
本作は、長篠合戦450年を記念して制作されたという。長篠合戦はいうまでもなく、天正3年(1575)におこなわれた織田信長・徳川家康と武田勝頼との合戦である。織田方が大勝利し、信長の天下一統の推進を本格化させる契機になった。しかも敗れた武田家では、前代信玄以来の有力家老衆のほとんどが戦死するという、戦国合戦でも類をみないほどの犠牲を出していた。本作はその長篠合戦を、本格的な戦国時代劇として描いている。内容はかなり重厚で、率直に言って見ごたえがある。なかでも注目されるのは、長篠での「決戦」に向かう、武田家の家老衆の「覚悟」が醸成されていく描写であった。もしかしたらそのように思案をめぐらせながら、「決戦」に臨んだのかもしれない、と思わされる内容になっている。
また作品においては、近年の研究がふんだんに取り入れられていたことも注目される。人名や事実経緯について、しっかりと研究成果が反映されていた。その部分は、戦国史ファンにとって、かなり興味深い内容になっていると思われる。
個人的に印象深かったのは、望月左衛門尉信永(勝頼の従弟)がフォーカスされていたことである。これには率直に驚いた。望月信永の存在は、武田家の歴史に詳しい人でない限り、認知されていないだろう。その人物にこういう役回りをさせるんだ、というところに、本作の大きな魅力を感じることができた。

大石 学さん

軍議を通して描き出した戦国のリアル
天正3年(1575)5月11日に、武田信玄の子勝頼と織田信長・徳川家康連合軍との長篠の合戦は、連合軍により「鉄砲が組織的に活用され、鉄砲主体の戦法へと転換する画期」(『角川日本史辞典』)として広く知られている。しかし、本作は合戦そのものではなく、合戦前後の時期の武田家家老衆の一人秋山虎繁と妻のお艶の方が、信長方と勝頼方の間で苦悩葛藤する姿を中心に描く。
艶は、織田信長の年下の叔母で、政略結婚を繰り返し、信長の意を請け美濃岩村(岐阜県恵那市)の女城主の役割を果していたが、武田方の秋山虎繁に攻められ開城し「平和」のために虎繁と4度目の結婚をした。しかし、天正元年4月武田信玄が没すると状況は一転し、長篠の敗戦をへて武田家は衰退にむかう。
この作品は、合戦の前日夕方から夜にかけての重臣らの陣所・三河国大通寺(愛知県新城市長篠)での軍議を主軸とする。本陣の大将武田勝頼は、カリスマ的リーダーとして重臣たちに慕われた父信玄のイメージと必死で格闘する。他方、勝頼に距離を置く重臣らは、合戦前日の敗北必至の情勢のなかで、それぞれの正義と身の処し方を主張する。自らの死と武田家存続の背反律への絶望的な議論を展開する。
私たちは、合戦や戦争というと、つい集団・団体としての意志行動ととらえがちである。しかし、参戦する個人の思いは、大将から足軽まで一人一人異なる。このリアルを本作は軍議を通じて見事に描き出した。この軍議に夫とともに参加する艶が甥信長の軍勢の強さを兵農分離や重商主義などから説くくだりは才媛といわれた彼女を彷彿とさせる。同時に彼女の公の場での発言を堂々と認める虎繁も新しい。陰謀・暗殺・裏切り・ニセ情報などが渦巻くストーリーのなかで2人の間の信頼や優しさは印象的である。ともすると成果や出世をめざし誇る現代の私たちに、それとは異なる生き方の大切さを示している。
長篠合戦の半年後、天正3年11月岩村城は落ち、夫婦は岐阜の信長のもとに連行される。虎繁は「張付」に処され、艶は信長が自ら斬ろうとする。しかしうまく切れず人々は「ふぢし(み)」(不死・不死身)と噂したという(「当代記」)。本作でも幻想的に描かれるこの奇跡は、歴史を越えて、人々が武力や才能よりも信頼や優しさを大切に思う気持ちの現れであり、本作の核心的テーマである。

笹本正治さん

美しい映像による宮下史観
戦国時代をいかに理解し、どのように映像化するかは大変難しい。しかも、歴史理解は研究成果と共に刻々と変わる。小説なら読者に想像力を任せうるが、映画となると物語を映像と音で構成するため、観客の想像力は狭くなる。このために衣装や化粧、小道具、方言を含めて言葉、音などが表現上重要になる。本作には監督・プロデユーサーの宮下玄覇氏の歴史理解、社会理解がよく表現されている。美しい映像を通して、歴史事実に少しでも近づき、観客に訴えかけようとするとするこだわりが随所に見られる。
ストーリィの背後となる歴史理解は『甲陽軍鑑』や『信長公記』などを前提とする通説によっている。いわば結果を知っている者の後出しジャンケン的な側面が強い。興味深いのは秋山虎繁(金子憲史)の妻のお艶(名前は仮、楊原京子)の役割を極めて大きく評価して、主役としている点である。男世界の武士団の中で女性がいかに活躍したかは大きな課題であるが、宮下氏は現代風に課題に近づいている。
同時に武田家の家臣個々人が総体として主役になっており、特定の主人公に重きを置きすぎない点が新しく、好ましい。
宮下史学の結晶として、このような長篠合戦理解もあるのかと興味深い。個人的には多くの異論もあるが、映画として優良な作品である。観客の皆さんは、できの良い作品であるが故に画面の中に引き込まれてしまうだろうが、出来るものならば、本作を見ながら、自分ならこのように考えるといった批判力をも維持しながら、大いに楽しんでいただきたい。

諏訪間 順さん

戦国時代の一大事、「長篠」の合戦を歴史研究家でもある宮下監督がどう料理するのか。
スクリーンに描き出されていたのは、鉄砲の音響く派手な合戦の絵図ではなく、武士の誇りと魂のぶつかり合い、そして夫婦のきずなであった。
歴史的な背景についての深い洞察と、俳優陣の熱気、迫力のある音楽と相俟って身体ごと引き込まれる感覚。
宮下監督にはいつか「小田原合戦前夜」を描いてほしい。

佐藤 利明さん

秋山虎繁の「愛と矜持」
戦国映画において「長篠の戦い」といえば、騎馬軍団と鉄砲隊が激突するスペクタクルとして語られてきた。黒澤明の『影武者』(1980年)、北野武の『首』(2023年)をはじめ、映画やNHK大河ドラマ、さらにはゲーム「信長の野望」シリーズなどに至るまで、その合戦のヴィジュアルは繰り返し描かれ、我々の中に強く刷り込まれている。
だが宮下玄覇監督は、『信虎』に続く本作で、その常識を静かに裏返してみせる。描かれるのは合戦そのものではなく、「その前夜」。武田家の重臣たちがいかにして戦に向き合い、何を思い、いかなる決断へと至ったのか―そのプロセスを「軍議」という極めて静的な場面の連なりによって描き出していく。
天正三年、三万八千の織田・徳川連合軍に対し、一万五千の兵で臨む武田勝頼。主戦を唱える武田勝頼(小堀正博)と、老獪な側近たち。それに対し、信玄の恩顧を受けた重臣たちは慎重な姿勢を崩さない。両者の対立は、単なる戦略論の違いではなく、武田家を守るとは何か、武士としてどうあるべきかという価値観の衝突として浮かび上がる。その構図は、現代の政治や組織、企業経営にも通じる切実さを帯び、観る者に強い共感を呼び起こす。
その中で、ひときわ鮮烈な印象を残すのが、武田家重臣で美濃岩村城代・秋山虎繁を演じる金児憲史である。21世紀の「石原裕次郎を探せ!」オーディションで石原プロモーション入り、渡哲也、舘ひろしの董陶を受けたその佇まいは、どこか往年の映画スターを思わせる。登場した瞬間に場の空気を変える力―いわば"スクリーンに立つことの意味〟を体現する俳優である。その長身痩躯と豪快さは、まさに秋山虎繁、ベストキャスティングである。
豪放磊落でありながら、状況を冷静に見極める知将としての顔。そして、妻であるお艶の方への深い信頼と情愛。秋山虎繁という人物の持つ複雑な陰影を、金児は過不足なく掬い取る。本作がユニークなのは、この秋山と、信長の叔母でもあるお艶の方という二つの視点を軸に物語が展開される点にある。
観客は自然と二人に感情を預け、「この選択の正しさ」を確信する。そこに、宮下監督の歴史への、そしてあの時代を生きた人々への深いリスペクトが息づいている。派手な合戦場面はないが、本作には確かな"熱"がある。それは、武田家を支えてきた者たちの矜持であり、その信念と決断である。戦わぬ道を模索しながらも、やがて避けがたく「負け戦」へと歩みを進めていく。その過程を見つめることで、歴史の一断面が、単なる出来事ではなく"人の選択の積み重ね"として立ち上がってくる。
そしてラスト。信長の前に引き出され、逆さ吊りにされた秋山虎繁が見せる眼光の鋭さ。死を前にした男の生命力を感じさせる。その中に宿るのは、武士としての揺るぎない矜持と、妻お艶の方への深い愛情である。信長の逆鱗にふれたお艶の方がどう振る舞うのか。このラストは実に見車である。この映画は「生きることと、愛すること」について、考えさせられる。

梛川 善郎さん

特殊メイクとはもはや特殊ではなく、徹底したリアリティが確かに生きて存在した人々の息遣いを伝える。
匂いまで感じるような密度に圧倒されました。

辻 裕之さん

武田家の存亡を賭けた戦いを前に、その家臣たちが密議を巡らす。
舞台はほぼ一室に限定され、男たちの苦悩や焦燥、対立や和解が描かれてゆく。
これは戦国版『十二人の怒れる男』なのかもしれない。ただ、その結幕は苦く悲しい。

応援メッセージ

伊東 潤(いとう じゅん)先生

伊東 潤先生

Jun Ito

「長篠の戦いといえば、両陣営の高度な駆け引きの末、戦国時代を飾る激しい戦いが繰り広げられたことで有名だが、これまで戦いそのものを描いた映像作品はあっても、前夜の動きを詳細に描いたものはなかった。その点でも本作は画期的であり、ここにこそ戦国ドラマの真髄があると言っていいだろう」

武田 ゆみさん

Yumi Takeda

「数いる武将の中で、武田にスポット当てていただきまして感謝しかありません。運命に翻弄された勝頼も、信虎、信玄ともに喜んでいると思います」

一色 航平(いっしき こうへい)さん

一色 航平さん

Kohei Isshiki

「はじめまして。 私の感覚では、今まで見聞きしてきた長篠の戦いは織田・徳川軍側からの視点の物が多かったように思います。 ミヤオビピクチャーズ代表 宮下様から、本作が武田軍側からの視点で描かれるとお聴きして、すぐに引き込まれました。 戦国最強とまで謳われた武田軍が、武田信玄亡き後、徐々に傾きはじめ、武田の重臣達が如何にして戦国の荒波の中をもがいたのか……。 日本史が好きな方も、そうでない方も、一人でも多く本作を観て頂きたく思います」